堆肥の話と

トマト栽培基本

去年からの肥料の高騰や、窒素肥料の品不足などで堆肥がまた見直されているようですね。

そもそもリン酸アンモニアと塩化カリウムは100%、尿素も95%輸入に頼っていたんでは、これから先もずっと、こういった心配はなくならないと思います。

僕が農業をやらせてもらっている地域は、酪農や畜産も盛んなところなので、地元で出る堆肥を地元の農家が有効に使えば、地域特有のアピールポイントにもなるし、お互いの利益になると思います。

でも、どの農家さんも堆肥を使っているというわけではありません。

それには理由があって、まず堆肥を畑に置くスペースがいります。町中に畑があるような農家さんだと、洗濯物に臭いがつくとか、野ざらしで置いておくと、雨の日なんかは茶色い水が流れ出るので良い顔されないとか、そもそも畑に堆肥をまくための機械も新品だと300万円以上します。

堆肥特有の臭いがするような、未熟な堆肥は畑に入れると弊害もあるかもしれません。

そして、いざ完熟した堆肥を畑にまいても、その年に目に見えて良い効果が出るなんてことはありません。10年くらい続けてみてやっと、効果が実感できるようなものだと思います。

堆肥の中に生きている何千億もの微生物が畑のなかに入って、それぞれが食べたり食べられたり、生きたり死んだりを繰り返して、良い菌も悪い菌もいるバランスのとれた良い土になるんだと思います。

堆肥の中にはリン酸もカリウムも豊富に含まれているし、窒素も堆肥の重さの1~2%は含まれていると言うので、10a当りに堆肥を4トン入れたら窒素分で40~80㎏は入っている事になります。

10a当りトマトを1トン収穫するのに窒素分で2~3㎏いると言われているので、数字だけで見れば余裕で足りそうなんですが、実際は堆肥に含まれている成分を全部植物が吸収するわけではないですし、灌水するたびに、少しずつでも流れ出てしまっている成分もあると思います。

またハウスの土に最初から多くの窒素分があると、トマトは定植初期は暴れさせないように、ゆっくりと弱めに育てていきたいんですが、初期から水と一緒にどんどん窒素も吸ってしまって、樹がボケてしまうというような心配もあります。

このあたりの課題をクリアできたら、例えば今まで使っていた化学窒素の量を、全部とはいかないまでも、半分くらいにはできるかもしれません。

国は継続可能な食品システムの構築に向けて、緑の食料システム戦略といって、2050年までに

農林水産業のCO2ゼロミッション化

化学農薬の使用量50%低減

化学肥料の使用量30%低減

耕地面積の有機農業の割合を現状0.6%から25%に拡大

2030年までに

食料製造業の労働生産性を最低3割向上

食品企業における持続可能性に配慮した輸入原材料調達の実現を目指す

エリートツリー等を林業用苗木の9割以上に拡大

二ホンウナギ、クロマグロ等の養殖において人口種苗比率100%を実現

等、他にもいろいろ掲げているんですが、どれも難しそうですね。

環境への負担を減らして、CO2の排出量も低減させたいと言っているのに、水稲作付初期の雑草抑制、除草労力の削減を目的にアイガモロボットとリモコン草刈り機を取り入れるのに交付金が出ています。確かに労力の削減にはなるんでしょうが、プラスチックとバッテリーの塊のアイガモロボットとリモコン草刈り機を一から生産する方が、よっぽど環境への負担だと思うのは僕だけでしょうか…

水稲やブロッコリー等の水田野菜では、牛糞ペレット堆肥を使って、化学肥料の使用量の低減と堆肥ペレット化による散布作業の省力化という取り組みに交付金が出ていますが、堆肥をペレット化する設備を作るのに大量のエネルギーが必要ですし、CO2の排出量もとんでもないと思うのですが、どうなんでしょう…そもそも堆肥をペレット化してしまったら、窒素などは入っていても、大切な微生物はみんな死んでしまって本来の堆肥を入れる目的は果たせないと思うのですが…

電気自動車を買うのにも補助金が出るようですが、新車は全部受注生産ですよね。内装はほとんどプラスチックで、大きなバッテリーを積んだ電気自動車一台作るのにかかるエネルギーや、排出するCO2は、その電気自動車を乗ることで削減できるCO2を超えてないですか?本当に環境への負担を減らしたいなら、新しい車なんて作らずに、多少燃費が悪くても今乗っている車を修理しながら、どれだけでも長いこと大切に乗った方が良いと思うし、買い替えるにしても、もうすでに生産してしまった中古車にする方が環境への負担を減らせると思うのですが…(あくまで僕個人の意見です)

聞こえのいい事だけ言って結局は、政府のお友だち企業だけが儲かっているような…(あくまで僕個人の感想です)

誰に何を言われても最後には自分の頭で考えて、正しいと思うことをしていきたいです。

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